町内会がイヤになった人のために
町内会がイヤになった方へ。役員、会議、行事、回覧、募金、行政からの依頼など、負担になりやすい仕事をどう減らせるか。実際の地域運営で試した例も交えながら、考え方と具体的な方法を紹介します。
はじめに
町内会がしんどいと感じている方へ
町内会や自治会について、
「役員をやめたい」
「役員を断りたい」
「仕事が多すぎる」
「行事や会議を減らしたい」
「昔からやっているという理由だけで続いている仕事に疑問がある」
そんな方のために、このページを作りました。
ここで紹介しているのは、
町内会をもっと活発にする方法ではありません。
新しいイベントを始める方法でもありません。
住民の意識を高める方法でもありません。
考えるのは、もっと単純なことです。
町内会が大変なら、仕事そのものを減らせないか。
会議を減らす。
行事を減らす。
役職を減らす。
配布物を減らす。
行政や外部団体から頼まれた仕事も、本当に町内会がやる必要があるのか確認する。
そして、
普通の人が、普通の生活をしながらでも関われるくらいまで小さくする。
このページでは、そのための考え方と具体的な方法を、実際の町内会・自治振興会運営の経験をもとにまとめています。
最初から全部読む必要はありません。
今、自分が困っている内容に近い項目から読んでください。
町内会について、
「仕方がない」ではなく、「そもそも、これ必要?」
と考えるための材料になれば幸いです。
役員を断る・辞める
役員は断ってはいけないのか
町内会や自治会の役員を頼まれると、
「みんな順番でやっているから」
「前の人もやったから」
「一年だけだから」
と言われ、断りにくく感じることがあります。
しかし、まず確認したいのは、
本当に引き受けなければならない決まりなのか
ということです。
町内会によって、役員の選び方や規約は違います。
輪番制なのか。
推薦なのか。
選挙なのか。
辞退について決まりがあるのか。
まずは実際のルールを確認してみてください。
「昔からそうしている」ことと、
正式な決まりがあることは同じではありません。
断るときは長く説明しすぎない
役員を引き受けられないのであれば、
「今回は役員を引き受けることができません。」
と、まず結論を伝えます。
必要なら、
「仕事との両立が難しいため」
「家庭の事情があるため」
「継続して役割を担うことが難しいため」
など、簡単な理由を添えれば十分です。
理由を細かく説明しすぎると、
「それなら会議だけでも」
「土日だけならできますよね」
「この仕事だけお願いします」
と、いつの間にか話が交渉になることがあります。
詳しい事情まで話したくない場合は、
「個人的な事情ですので、詳細については控えさせてください。」
でもよいでしょう。
大切なのは、
相手を完全に納得させてから断ろうとしないこと
です。
「みんなやっている」と言われたら
よくあるのが、
「みんな順番でやっています」
という言葉です。
その場合も、
「事情は承知していますが、今回は引き受けることができません。」
と、同じ結論を繰り返せばよいでしょう。
全員の生活条件は同じではありません。
仕事。
子育て。
介護。
年齢。
体力。
家庭の事情。
同じ役割でも、負担の大きさは人によって違います。
「みんながやっている」ことと、「自分も無理をしてやらなければならない」ことは別です。
できることだけ示す方法もある
町内会との関係そのものを悪くしたくない場合には、
「役員はできませんが、年一回の清掃なら参加できます。」
など、
できることと、できないことを分けて伝える
方法もあります。
ただし、
「何か協力できることがあれば何でも言ってください」
のような曖昧な言い方には注意したほうがよいでしょう。
結局、別の仕事を大量に引き受けることになれば、役員を断った意味がなくなります。
役員になったら全部やる必要があるのか
すでに役員を引き受けている場合でも、
役員だから、町内会の仕事を全部背負わなければならない
とは考えないほうがよいでしょう。
会議。
行事。
配布物。
行政や外部団体からの依頼。
前年から引き継いだ仕事。
一つずつ、
「これは本当に必要なのか」
を確認してみてください。
役員になることと、
前年までの仕事をすべてそのまま再現することは別です。
役員の負担が大きすぎるのであれば、仕事そのものを減らすことも考えられます。
完璧な役員になる必要はない
役員になると、
「前の人と同じようにやらなければ」
「住民から文句を言われないようにしなければ」
「任期中に問題を全部解決しなければ」
と考えてしまうことがあります。
しかし、役員は町内会を完璧にするために選ばれた人ではありません。
一定期間、その役割を担当している住民の一人です。
できる範囲で担当する。
できないことは減らす。
次の人にも無理なく渡せる状態にする。
そのくらいで十分です。
途中で辞めたいときは
役員を引き受けたあとに、
仕事や家庭の事情が変わることもあります。
思っていた以上に負担が大きかったと分かることもあります。
その場合は、まず規約や会則を確認してください。
辞任について決まりがあるのか。
後任はどう決めるのか。
役員会や総会での手続きが必要なのか。
町内会によって方法は違います。
続けることが難しいと分かったら、
できるだけ早めに伝える
ほうがよいでしょう。
たとえば、
「事情により、今後役員を続けることが難しくなりました。規約に沿って辞任の手続きをお願いします。」
という伝え方があります。
必要な資料や現在進行中の仕事については、分かる範囲で引き継ぎます。
しかし、
すべてを完璧に整理し、後任者が一切困らない状態にしなければ辞められない
と考える必要はありません。
一人が途中で辞めただけで町内会が動かなくなるのであれば、その人に仕事が集中しすぎていた可能性もあります。
途中で辞める人が出たことをきっかけに、
仕事を減らす。
役職を減らす。
会議を減らす。
という見直しができる場合もあります。
役員を断ること。
途中で辞めること。
できない仕事を断ること。
どれも、
町内会との関係をすべて断つこととは別の話です。
無理をして全部引き受けるのでもなく、何もかも縁を切るのでもなく、
自分が無理なく関われるところまで。
その距離を自分で決めてよいのではないでしょうか。
町内会を退会する
退会する前に確認したいこと
町内会や自治会の負担が大きくなると、
「もう町内会そのものを辞めたい」
と思うことがあります。
役員の仕事が多い。
行事への参加が負担になっている。
募金や集金が面倒。
会議が多い。
人間関係に疲れた。
理由は人それぞれです。
ただ、退会を決める前に一度だけ整理しておきたいことがあります。
本当に辞めたいのは「町内会そのもの」なのか、それとも「特定の仕事や役割」なのか。
ということです。
「全部やる」か「退会する」かの二択ではない
町内会に加入しているからといって、
すべての行事に参加する。
すべての仕事を引き受ける。
すべての役員を順番に務める。
という付き合い方しかないとは限りません。
たとえば、
役員は引き受けない。
参加する行事を減らす。
特定の作業だけ断る。
できるときだけ協力する。
という距離の取り方も考えられます。
町内会そのものには残りながら、
負担だけを小さくできるのであれば、それで解決する場合もあります。
まず、
「町内会を辞めたい」
ではなく、
「私は何をやめたいのか」
を分けて考えてみてください。
それでも退会したいときは
負担を減らしても解決しない。
町内会との関係そのものを終わらせたい。
そう考えた場合には、まず町内会の規約や会則を確認します。
退会についてどのように定められているか。
退会届が必要なのか。
誰に伝えるのか。
年度途中の場合、会費をどう扱うのか。
こうした点は町内会によって違います。
口頭だけで済ませるより、
退会する意思と日付を書面で伝え、自分でも控えを残しておく
方法もあります。
たとえば、
「○年○月○日をもって、○○町内会を退会します。」
という程度です。
長い理由を書く必要はありません。
理由を伝えたくなければ、
「個人的な事情によるものです。」
という程度でもよいでしょう。
退会後に困ることがないか確認する
退会するときに大切なのは、
町内会費を払わなくなることだけを考えないこと
です。
町内会を通じて利用していたものや、受け取っていた情報がないか確認しておきます。
たとえば、
ごみ集積所。
地域で共同管理している設備。
町内会館。
防犯灯などの地域設備。
回覧や地域のお知らせ。
町内会独自のサービス。
などです。
特にごみ集積所については、
誰が土地や設備を管理しているのか。
町内会を退会した場合に、どこへごみを出せばよいのか。
地域によって事情が違います。
分からなければ、
自治体のごみ担当部署などへ直接確認する
ほうが確実です。
「町内会を辞めたらごみを出せないらしい」
といった話だけで判断するのではなく、実際の扱いを確認してみてください。
回覧が来なくなっても困らないか
町内会を退会すると、これまで回ってきていた地域情報が届かなくなることもあります。
その場合も、
本当に必要な情報なのか。
自治体の広報で確認できないか。
ホームページなどから直接得られないか。
というように考えてみます。
今まで町内会を通して受け取っていたからといって、
これからも町内会を通さなければ得られない情報とは限りません。
必要な情報だけ、別の方法で確認できればよい場合もあります。
人間関係と退会は分けて考える
退会を考えると、
「近所との関係が悪くならないだろうか」
と心配になることもあります。
しかし、
町内会を退会することと、
近所の人と敵対することは同じではありません。
会えば挨拶する。
困っているときには、できる範囲で助ける。
災害など、本当に協力が必要なときには協力する。
町内会という組織から離れても、
近所付き合いまで全部なくす必要はありません。
反対に、町内会に加入しているからといって、人間関係が必ず良くなるわけでもありません。
組織への加入と、人との関係は分けて考える。
そのほうが整理しやすくなります。
自分に合った距離を選ぶ
町内会との付き合い方は、
全部参加する。
全部断る。
の二つしかないわけではありません。
役員だけ断る。
行事を減らす。
一部の仕事だけ協力する。
町内会には残る。
町内会そのものを退会する。
いろいろな距離があります。
大切なのは、
周囲と同じ距離ではなく、
自分が無理なく生活できる距離
を考えることです。
退会する必要がなければ、退会しなくてもいい。
退会したほうがよいと判断したなら、必要なことを確認して退会する。
町内会との関係も、
近すぎず、遠すぎず。
自分にとってちょうどよいところまででよいのではないでしょうか。
仕事を減らす
仕事が増え続ける理由
町内会や自治会の仕事が多くなる大きな理由の一つは、
新しい仕事は増えるのに、古い仕事がなかなかなくならないこと
です。
行事。
会議。
回覧。
清掃。
委員の選出。
募金。
行政や外部団体からの依頼。
長い年月の中で少しずつ仕事が加わり、一度始まると、
「昔からやっているから」
「去年もやったから」
「やめると何か言われそうだから」
という理由で残り続けます。
その結果、
本当に必要な仕事と、ただ続いている仕事が混ざってしまいます。
町内会の負担を減らしたいなら、まず効率化する前に、
仕事そのものを減らせないか
を考えてみてください。
まず仕事を全部並べる
最初に、
今、町内会で何をやっているのかを書き出してみます。
そして一つずつ、
今も必要なのか。
町内会がやる必要があるのか。
回数を減らせないか。
まとめられないか。
やめると具体的に誰が困るのか。
を確認します。
特に見直しやすいのは、
「毎年やっているだけの行事」
「目的がよく分からない会議」
「ほとんど読まれていない配布物」
「担当者を決めること自体が大変な仕事」
です。
誰もやりたがらない仕事を疑う
担当者が見つからないと、
「誰にお願いするか」
を考えがちです。
しかし、その前に、
「この仕事、本当に残す必要があるのか?」
と考えてみてください。
負担が大きい。
時間がかかる。
責任ばかり重い。
目的が分からない。
だから誰もやりたがらないのかもしれません。
本当に必要な仕事なら、誰かが担当する方法を考える必要があります。
しかし、やめても特に困らないのであれば、
人を探す必要そのものがなくなります。
「誰がやる?」
より先に、
「誰もやらなかったら、何が起きる?」
と考えてみる。
誰も困らないのであれば、誰もやらなくてよい仕事なのかもしれません。
一度に全部変えなくていい
仕事を減らすとき、大改革をする必要はありません。
まず一つだけ、
「今年はこれをやめてみる」
でも十分です。
一回休止する。
回数を半分にする。
規模を小さくする。
そして様子を見る。
本当に困ったなら、元に戻せばいいのです。
何も困らなかったなら、
その仕事はなくてもよかった
ということが分かります。
変えないことにもコストがあります。
20人が2時間集まる会議なら、それだけで地域全体では40時間を使っています。
町内会の仕事に使う時間も、
住民自身の生活時間
です。
お金だけではなく、人の時間も地域の大切な資源として考えてみてください。
新しい仕事を増やす前に考える
町内会で問題が起きると、
「新しい行事を始めよう」
「新しい委員会を作ろう」
「新しい仕組みを導入しよう」
という話になりがちです。
しかし、新しいことを始めれば、
準備する人。
連絡する人。
会計をする人。
翌年へ引き継ぐ人。
が必要になります。
今年だけのつもりでも、翌年には、
「去年もやったから」
という新しい前例になることがあります。
ですから、何かを始める前に、
今ある仕事を一つ減らすことで解決できないか
を考えてみてください。
住民から新しい要望が出たときも同じです。
要望を聞くことと、町内会の恒久的な仕事にすることは別です。
困っている人がいる場合でも、町内会が新しい事業を作る以外に、既存の制度や専門機関につなぐ方法もあります。
善意があるからこそ、
善意を際限のない仕事に変えないこと
も大切です。
やめたら代わりを作らなくてもいい
町内会では何かをやめると、
「では代わりに何をする?」
という話になることがあります。
しかし、
行事をやめて誰も困らない。
会議を減らしても問題ない。
不要な回覧をなくしても困らない。
のであれば、
何も足さなくて構いません。
空いた時間は、
役員が家族と過ごす時間でも、
仕事をする時間でも、
休む時間でもいいのです。
古いものを新しいものへ置き換えることだけが改革ではありません。
なくして、そのまま何も足さない。
それも立派な改善です。
仕事には終わる条件を作る
新しい仕事を始めるなら、
「どう始めるか」
だけでなく、
「どうなったら終わるか」
も決めておくと、仕事が増え続けにくくなります。
たとえば、
参加者が一定人数を下回ったら終了する。
三年間だけ試す。
担当者が見つからなければ終了する。
補助金がなくなったら終了する。
目的を達成したら終了する。
といった方法です。
すでに長く続いている仕事についても、
なぜ始まったのか。
その目的は今も残っているのか。
を確認してみてください。
始めた理由は誰も知らないのに、作業手順だけが毎年引き継がれている。
そんな状態なら、見直すよい機会です。
町内会の仕事にも、寿命があっていいのです。
何を減らしたかも成果になる
町内会の活動報告では、
「新しい事業を始めた」
「これだけの行事を行った」
というものが成果として見えやすくなります。
しかし、
会議を12回から6回にした。
行事を一つなくした。
配布物を半分にした。
役員の仕事を減らした。
住民が使う時間を減らした。
こうしたことも立派な成果です。
何を増やしたかではなく、何を減らせたか。
という見方があってもよいでしょう。
必要なものまでなくさない
もちろん、何でもなくせばよいわけではありません。
地域の安全に必要なこと。
共同で使っている設備の管理。
必要な連絡。
災害時に必要な仕組み。
こうしたものは残す必要があるでしょう。
防災が大切だからといって、すべての会議や行事を残す必要はありません。
大切なのは、
災害時に本当に必要になるものは何か
を具体的に考え、それを残すことです。
町内会を小さくすることと、町内会を弱くすることは同じではありません。
普段は小さく。
必要なときには動ける。
そのくらいでも十分です。
町内会を続けるために、住民が無理をするのではなく、
住民が無理をしなくても続けられるところまで町内会を小さくする。
仕事を減らす目的は、そこにあります。
会議・行事・回覧
会議は集まることを目的にしない
町内会や自治会の負担の中で、意外に大きいのが会議です。
月に何度も集まる。
毎回長時間になる。
話し合っているのに、結局いつも前年と同じ結論になる。
そんな状態になっていることもあります。
会議を減らしたいときは、まず、
その会議で何を決めているのか
を確認してみてください。
単なる報告であれば、紙やメールなどで済む場合があります。
毎年同じ内容を確認しているだけなら、毎回集まる必要はないかもしれません。
会議は、本来何かを決めるための手段です。
集まること自体が仕事になっていないか。
一度確認してみてください。
この会議で何を決めるのか。
集まらなければ決められないのか。
回数を半分にできないか。
報告だけなら別の方法にできないか。
会議を上手に運営することより、
なくせる会議をなくす。短くできる会議を短くする。
そのほうが簡単です。
行事は盛り上げる前に必要性を確認する
町内会では、
清掃。
祭り。
運動会。
敬老行事。
防災訓練。
親睦会。
など、さまざまな行事があります。
一つ一つには、それぞれ始まった理由があったのでしょう。
しかし問題は、
行事は増えても、なかなか減らないこと
です。
昔は参加者が多かった。
以前は楽しみにしている人が多かった。
しかし今は、
参加する人より、準備する役員のほうが疲れている。
そんな行事もあるかもしれません。
確認したいのは、
今も参加したい人がいるのか。
準備にどれくらい時間がかかっているのか。
役員の負担に見合っているのか。
やめたら本当に困る人がいるのか。
ということです。
参加者が減ると、
企画を増やす。
景品を増やす。
宣伝を増やす。
という方向へ進みがちです。
しかし、それではさらに仕事が増えます。
参加者が減っている行事ほど、
どう盛り上げるかではなく、そもそも続ける必要があるのか
から考えてみてください。
毎年同じ時期にやる必要もない
町内会の年間予定表を見ると、前年とほとんど同じ予定が並んでいることがあります。
もちろん、
季節。
法律上の期限。
安全上の理由。
などで時期が決まっているものもあります。
しかし、
「毎年五月だから」
「秋にはこの行事だから」
という理由だけなら、本当に同じ時期、同じ回数で続ける必要があるのか確認できます。
毎年やっていたものを隔年にする。
年4回を年2回にする。
それだけでも仕事は減ります。
年間予定を作るときは、
「今年は何を入れるか」ではなく、「去年の予定から何を消せるか」
という方向から見る方法もあります。
予定が一つ消えれば、
準備。
会議。
担当者。
引継ぎ。
まで一緒に消えるかもしれません。
回覧は配り方より必要性を考える
回覧板や配布物も、積み重なると大きな仕事になります。
市役所からのお知らせ。
地域団体からの案内。
行事のお知らせ。
募集や募金の案内。
一つ一つは短い文書でも、配る側にも受け取る側にも負担になります。
まず確認したいのは、
本当に町内会を通して配る必要がある情報なのか
ということです。
誰に必要なのか。
全世帯へ配る必要があるのか。
回覧でなければ伝えられないのか。
掲示やホームページなどで済まないのか。
特に、
「毎年来ているから今年も配る」
というものは、一度立ち止まってみる価値があります。
回覧を減らすために新しいアプリを導入する前に、
配らなくても困らないものを、配らない。
それだけでも仕事は減ります。
資料は立派でなくてもいい
町内会では、
総会資料。
会議資料。
事業報告。
案内文。
名簿。
引継ぎ資料。
など、さまざまな資料を作ります。
そのとき、
「去年と同じ形式で」
「見栄えを整えなければ」
「ちゃんとした資料にしなければ」
と考えすぎると、
内容よりも、
文字の位置をそろえる。
表の幅を調整する。
前年の書式を再現する。
何ページも印刷する。
といった作業に時間を使うことがあります。
しかし、資料の目的は、
必要な情報が分かること。決めるべきことが分かること。あとから確認できること。
基本的には、それで十分です。
もちろん、会計や契約など、正確さが必要なものはきちんと作る必要があります。
しかし、
正確であることと、豪華であることは別です。
一枚で済むなら一枚にする。
箇条書きで済むなら、それでいい。
なくても困らない資料なら作らない。
そして、次の人が簡単に直せるものにする。
そのほうが引継ぎも楽になります。
親睦は全員に同じ形で必要ではない
町内会では、
「住民同士の親睦を深めよう」
「顔の見える関係を作ろう」
という理由で、
懇親会。
旅行。
新年会。
スポーツ大会。
交流イベント。
などが行われることがあります。
楽しみにしている人もいるでしょう。
一方で、
近所とは挨拶する程度でいい。
必要なときだけ協力したい。
休日は自分や家族のために使いたい。
という人もいます。
人とのちょうどよい距離は、人によって違います。
親睦を深めるために、
参加者を増やす。
新しい行事を作る。
欠席する人へ声をかける。
となれば、その分だけ役員の仕事も増えます。
そこで一度、
親睦したくない人まで、親睦のために働かせていないか
を考えてみてください。
交流したい人がいれば、交流したい人同士で楽しむ方法もあります。
必ずしも町内会全体の事業にする必要はありません。
町内会に必要なのは、住民全員が仲良くなることではなく、
普段は適度な距離を保ち、必要なときには連絡が取れること。
そのくらいでも、地域は成り立ちます。
会議。
行事。
回覧。
資料。
親睦。
どれも、
昔からあるから続けるのではなく、今も必要だから続ける。
そう考えるだけでも、町内会の負担はかなり軽くできます。
役員・委員・引継ぎ
役員が決まらないなら役職を見直す
町内会や自治会では、
「次の役員が決まらない」
という悩みが毎年のように出ることがあります。
会長。
副会長。
会計。
班長。
各種委員。
役職がたくさんあれば、それだけ多くの人を探さなければなりません。
そこで最初に考えたいのは、
誰にお願いするかではなく、その役職が今も必要なのか
ということです。
昔から、
会長。
副会長。
会計。
書記。
何人もの委員。
という形だったとしても、今も同じ人数が必要とは限りません。
仕事が減れば、役職も減らせます。
二つの役割を一つにまとめられることもあります。
役員が見つからないのであれば、
人を探し続けるより、人を必要としない仕組みに変える。
そのほうが長く続く場合があります。
仕事が一部の人に集中していないか
町内会では、
パソコンが使える人。
文章を書くのが得意な人。
地域事情に詳しい人。
頼まれると断らない人。
こうした人に仕事が集まりやすくなります。
最初は、
「あの人に頼んだほうが早い」
から始まります。
しかし、それが続くと、
その人がいなければ回らない町内会
になってしまいます。
問題なのは、その人が大変になることだけではありません。
その人が辞めた瞬間に、仕組みそのものが止まります。
特定の人に仕事が集中しているときは、
その人にしかできない仕事なのか。
手順を簡単にできないか。
仕事自体をなくせないか。
と考えてみてください。
「できる人へ仕事を集める」
より、
「誰でもできるくらい仕事を小さくする」
ほうが、町内会は安定します。
責任感の強い人ほど背負いやすい
町内会では、
「私がやらなければ」
と思う人ほど仕事が増えることがあります。
頼まれる。
引き受ける。
きちんとやる。
すると、
「あの人ならやってくれる」
と、さらに仕事が集まります。
本人の責任感が強いほど、
組織の側が、その責任感に依存してしまう
ことがあります。
そこで必要なのは、責任感のある人をさらに探すことではありません。
一人の責任感がなくても回るところまで、
仕事を減らし、仕組みを単純にすること
です。
「頑張る人がいるから大丈夫」
という状態は、一見安定しているようで、実はとても弱い状態です。
会長が何でも背負う必要はない
町内会長になると、
住民からの相談。
行政からの連絡。
行事。
会議。
会計。
苦情。
役員同士の調整。
まで、
「とりあえず会長へ」
となることがあります。
しかし、会長は地域のすべての問題を解決する人ではありません。
行政の問題なら行政へ。
専門的な問題なら専門機関へ。
役員それぞれの担当なら、その担当へ。
そもそも町内会で扱う必要のない問題なら、町内会で抱えない。
という切り分けが必要です。
会長が優秀だから全部処理する。
ではなく、
会長が全部処理しなくても回る状態にする。
そのほうが、次の会長も引き受けやすくなります。
委員が多すぎないか
町内会から、
防犯。
福祉。
保健。
環境。
青少年。
交通安全。
など、さまざまな委員を選んでいる地域もあります。
一つ一つには目的があっても、選出する側から見ると、
毎年何人もの人を探すこと自体が大仕事
になっている場合があります。
まず確認したいのは、
なぜ町内会から選ぶことになっているのか。
今も町内会が選ぶ必要があるのか。
人数は今のままでなければならないのか。
ということです。
「毎年そうしている」
だけで続いている選出がないか、一度確認してみる価値があります。
担い手不足を解決するために人を探す前に、
そもそも選ばなければならない人の数を減らせないか。
ここから考えてみてください。
役割を細かく分ければ楽になるとは限らない
一人の負担が大きいと、
「もっと細かく役割分担しよう」
という話になることがあります。
確かに、必要な仕事を分けることで楽になる場合もあります。
しかし、役割を増やせば、
担当者を決める。
連絡する。
情報を共有する。
会議をする。
次の人へ引き継ぐ。
という新しい仕事も生まれます。
そのため、
仕事を細かく分ける前に、仕事そのものを減らせないか
を考えてみてください。
三人で分担していた仕事を一人でやるのではなく、
三人必要だった仕事をなくす。
そのほうが簡単な場合もあります。
引継ぎは前年を再現する作業ではない
役員が交代すると、
年間行事表。
会議資料。
各種団体への対応。
配布物。
毎年提出する書類。
過去何年分もの資料。
が渡されることがあります。
すると、
「去年やっていたことは、今年も全部やらなければならない」
ように感じてしまいます。
しかし、引き継ぐべきなのは、
前年の仕事そのものではありません。
まず、
これは何のための仕事なのか。
今も必要なのか。
町内会がやる必要があるのか。
を確認してみてください。
必要な仕事は引き継ぐ。
必要なくなった仕事は、次へ渡さない。
役員交代は、
不要な仕事を止める絶好の機会
でもあります。
引継ぎ資料は分厚いほどよいわけではない
引継ぎ資料が何十ページもある。
何年分ものファイルがある。
誰も全部読んでいない。
そんな状態なら、一度整理してみてもよいでしょう。
本当に必要なのは、
連絡先。
期限。
現在動いている仕事。
会計や契約など継続が必要なもの。
注意しなければならないこと。
などです。
前任者しか理解できない分厚い資料より、
次の人が短時間で理解できる簡単な資料
のほうが役に立つことがあります。
引継ぎ資料そのものも、
「昔からあるから残す」
ではなく、
「次の人に本当に必要か」
で選びます。
経験のある人に長く頼りすぎない
長く役員をしている人は、事情をよく知っています。
過去の経緯も分かっています。
困ったときに頼れる存在になることもあります。
しかし、
「あの人しか分からない」
状態が続けば、属人化が進みます。
経験者がいなければ回らない仕事は、
手順を簡単にする。
記録を残す。
仕事を減らす。
ことで、
経験がなくてもできる仕事
に変えていくことが大切です。
経験のある人をずっと役員として残すことより、
その人がいなくても回る仕組みにする。
そのほうが、長い目で見れば安心です。
前任者は役割を渡したら手を離す
役員を退任したあと、
「去年はこうだった」
「自分のときはこうした」
と助言したくなることもあるでしょう。
聞かれたときに経験を伝えることは役に立ちます。
しかし、
前任者が決め続ける。
現在の役員へ細かく指示する。
以前の方法に戻そうとする。
となれば、新しい役員は自分で判断できなくなります。
引継ぎとは、
仕事だけではなく、決める権限も次の人へ渡すこと
です。
前の人が手を離さなければ、役員が交代した意味がありません。
任期中に全部解決しなくてもいい
役員になると、
「自分の任期中に問題を片づけなければ」
と思うことがあります。
しかし、長年積み重なった問題を、一年や二年ですべて解決する必要はありません。
一つ仕事を減らす。
一つ役職を減らす。
一つ引継ぎを簡単にする。
それだけでも十分です。
次の人が、
前より少しだけ楽に始められる状態で渡す。
それも立派な引継ぎです。
町内会を続けるために必要なのは、立派な役員を探し続けることではありません。
立派な人でなくても回るくらい、役割と仕事を小さくすること。
役員選びも、委員選びも、引継ぎも、そこから考えると少し楽になります。
会費・募金・行政依頼
まず「何のお金・誰の仕事か」を分ける
町内会や自治会では、
町内会費。
募金。
各種団体への負担。
行政からの依頼。
回覧や配布。
委員の推薦。
調査への協力。
など、さまざまなお金や仕事を扱うことがあります。
長く続いていると、
「毎年やっているから」
というだけで、それぞれの違いが分からなくなってしまうことがあります。
そこで一度、
これは何のお金なのか。これは誰の仕事なのか。
を分けて考えてみてください。
町内会費と募金を分けて考える
町内会を通じて、
赤い羽根共同募金。
赤十字などへの募金。
その他の団体への寄付。
などへの協力を求められることがあります。
町内会がまとめて集めていると、毎年の町内会費と同じように感じることがあります。
しかし、まず確認したいのは、
これは町内会費なのか、それとも外部への募金なのか
ということです。
何のためのお金なのか。
誰へ渡るのか。
金額はどのように決められているのか。
町内会費とは別なのか。
まずそこを確認します。
町内会費と一緒に集められていて区別が分からない場合には、
規約。
総会資料。
予算書や決算書。
などを確認してみる方法があります。
長年続いている集金ほど、
「昔から払っているから」ではなく、「これは何のお金なのか」
を一度確かめてみてください。
町内会費が高いと感じたら
町内会費が高いと感じたときも、金額だけを見るのではなく、
何に使っているのか
を見ることが大切です。
行事。
会館や設備の管理。
保険。
印刷や通信。
各種団体への支出。
その他の事業。
支出の中身を見てみると、必要なものもあれば、
「これは今も必要なのだろうか」
と思うものもあるかもしれません。
会費を下げたいのであれば、単に徴収額だけを下げるのではなく、
支出する仕事そのものを減らせないか
という方向から考えることもできます。
行事を一つ減らす。
不要な印刷物を減らす。
使わなくなった事業をやめる。
そうすれば、負担するお金だけでなく、役員の仕事も一緒に減ることがあります。
行政から来た依頼をすぐ仕事にしない
市役所などから町内会へ、
回覧物の配布。
調査への協力。
委員の推薦。
行事への参加。
など、さまざまな依頼が来ることがあります。
行政から正式な文書が届くと、
「これは町内会がやらなければならない仕事なのだ」
と思ってしまうことがあります。
しかし、そこで一度確認します。
これは何を根拠に依頼しているのか。
町内会が行うことになっている仕事なのか。
単なる協力依頼なのか。
断った場合に何が起きるのか。
ということです。
もちろん、町内会自身が契約や補助事業などを引き受け、その条件として行う必要がある仕事もあります。
だからこそ、
「市役所から来たから」だけで判断するのではなく、その仕事の根拠を確認する
ことが大切です。
「去年もやった」は根拠ではない
行政からの依頼の中にも、
「毎年町内会にお願いしています」
というものがあります。
しかし、
去年引き受けた。
前の会長も引き受けた。
何十年も続いている。
ということと、
今年も引き受けなければならないこと
は同じではありません。
依頼が来たら、
なぜ町内会がやっているのか。
今も町内会がやる必要があるのか。
別の方法ではできないのか。
というところから確認します。
行政からの依頼も、町内会に一度入った仕事は、そのまま翌年へ引き継がれやすくなります。
だからこそ、
新しく引き受けるときほど慎重に考える
必要があります。
町内会を何でも窓口にしない
地域で何か問題が起きると、
「とりあえず町内会長へ」
となることがあります。
行政からも。
住民からも。
外部団体からも。
さまざまな話が町内会へ集まると、町内会が地域の何でも窓口のようになってしまいます。
しかし、
道路の問題。
行政サービスの問題。
専門的な相談。
個人同士の問題。
まで、すべて町内会が処理する必要があるとは限りません。
まず、
これは町内会が扱う問題なのか
を考えてみてください。
行政が扱う問題なら行政へ。
専門機関が扱う問題なら専門機関へ。
町内会が関わる必要がなければ、町内会で抱えない。
仕事を上手に処理することより、
最初から引き受けなくてよい仕事を引き受けないこと
のほうが、負担軽減には効きます。
「協働」が仕事を増やしていないか
行政と地域の「協働」という言葉には、行政と住民が力を合わせるという意味があります。
それ自体が悪いわけではありません。
しかし、実際の仕事を見ると、
行政から依頼が来る。
町内会長が受け取る。
役員へ振り分ける。
住民へお願いする。
という流れになり、
地域側の仕事だけが少しずつ増えていく
ことがあります。
そんなときは、
「協働だから引き受ける」
ではなく、
この仕事は誰のためのものか。
本来誰が行う仕事なのか。
町内会が担うことで、どれだけ住民の時間を使うのか。
を確認してみてください。
協力できることは協力する。
しかし、
協力することと、恒久的な町内会の仕事として引き受けることは別です。
一度引き受ければ、翌年には「去年もやった仕事」になります。
無償の時間も無料ではない
町内会の活動では、
「ボランティアだから」
という言葉が使われることがあります。
確かに、地域のために自発的に協力することには意味があります。
しかし、
一時間の会議。
一時間の配布。
一時間の調査。
一時間の集金。
その時間は、誰かの生活時間です。
仕事。
家族。
休息。
趣味。
本来そこに使えた時間を使っています。
お金が発生しないからといって、
負担がゼロになるわけではありません。
行政や外部団体から新しい協力を求められたときも、
「お金がかからないから」
ではなく、
住民の時間をどれだけ使うのか
まで含めて考えてみてください。
お金も仕事も一度分解してみる
町内会では、
町内会費だから。
募金だから。
行政からの依頼だから。
地域のためだから。
協働だから。
という言葉が付くと、断ったり見直したりしにくくなることがあります。
そんなときほど、一度名前を外して考えてみます。
誰のお金なのか。
何のためのお金なのか。
誰の仕事なのか。
なぜ町内会がやるのか。
やめると具体的に何が起きるのか。
それを確認して、
必要なら続ける。
必要でなければ減らす。
町内会が担う必要がなければ、元の担当へ戻す。
そのくらい単純に考えてもよいのではないでしょうか。
町内会の負担を減らすためには、
頼まれた仕事を上手にこなすことより、そもそも誰の仕事なのかを確認すること。
それが大切です。
前例・同調圧力
空気と決まりを分けて考える
町内会や自治会では、
「昔からやっています」
「みんなやっています」
「前の役員もやりました」
「地域のためです」
「協力してください」
という言葉がよく使われます。
どれも、それだけを見ればおかしな言葉ではありません。
しかし、こうした言葉が積み重なると、
本当は決まりではないことまで、断れないことのように感じてしまう
場合があります。
町内会の負担を減らすときには、正式な決まりと、
「なんとなく断りにくい空気」
を分けて考えることが大切です。
「昔からやっている」は理由になるのか
長く続いていることには、もともと何か理由があったのかもしれません。
しかし、
昔必要だったことが、今も必要とは限りません。
人口構成。
働き方。
家族の形。
地域の状況。
使える技術。
さまざまなものが変わっています。
ですから、
「いつからやっているのか」
だけではなく、
「今も続ける理由は何か」
を確認してみてください。
前例は参考資料にはなります。
しかし、
前例そのものを、続ける理由にする必要はありません。
「みんなやっている」は決まりではない
何かを断ろうとすると、
「みんなやっているんだから」
と言われることがあります。
この言葉は、とても強く感じます。
しかし、
みんながやっていることと、
自分も必ずやらなければならないこと
は同じではありません。
本当に全員がやっているのか。
断った人はいないのか。
やらなくても困らない仕事ではないのか。
正式なルールがあるのか。
を一度確認してみてください。
町内会では、ときに規約よりも、
「今までそうしてきた」
「他の人もやっている」
「自分だけ断るのは悪い」
という空気のほうが強く働きます。
だからこそ、
空気と決まりを分ける
ことが大切です。
「協力してください」はどこまで協力するかを考える
町内会では、
「地域のために協力してください」
と言われることがあります。
協力すること自体が悪いわけではありません。
しかし、
協力するなら全部引き受ける。
一度協力したら毎年続ける。
他の人と同じ量を引き受ける。
という必要まであるとは限りません。
できるのであれば協力する。
できないことは断る。
一部だけならできるのであれば、その範囲を伝える。
協力には、程度があってもよい
のです。
「協力するか、しないか」
ではなく、
「どこまでなら無理なく協力できるか」
と考えてみてください。
「迷惑をかける」と言われたら
何かを断ったとき、
「他の人に迷惑がかかる」
と言われることがあります。
そんなときは、
具体的に誰が、どのように困るのか
を確認してみてください。
担当者が一人足りなくなるのか。
本当に必要な仕事が止まるのか。
それとも、
「今まで全員やっていたのに、一人だけやらない」
ということ自体が問題とされているのか。
ここは大きな違いです。
本当に誰かが困るのであれば、対応を考える必要があります。
しかし、
断る人が出るたびに残った人へ負担を移すだけの仕組み
なら、見直すべきなのは断った人ではなく、仕事の量かもしれません。
「地域のため」は万能の理由ではない
「地域のため」
と言われると、反対しにくくなります。
しかし、
行事を増やすこと。
会議を増やすこと。
役員の仕事を増やすこと。
住民へ新しい負担を求めること。
それらがすべて、
「地域のため」
になるとは限りません。
地域のために何かをするのであれば、
そのために誰が、どれだけ時間を使うのか
も一緒に考える必要があります。
地域は、町内会のために存在しているわけではありません。
町内会は、
そこに暮らす人たちの生活を支えるためのもの
です。
「地域のため」という言葉によって、住民の生活が圧迫されているのであれば、一度考え直してもよいでしょう。
善意を前提にしすぎない
町内会は、多くの人の善意によって支えられています。
だからこそ注意したいことがあります。
「これくらいやってくれるだろう」
「地域のことだから断らないだろう」
「頼めば誰かがやってくれるだろう」
という前提です。
善意に頼る仕組みは、最初はうまく動くことがあります。
しかし、それが毎年の仕事になれば、
善意だったものが、いつの間にか当然の役割になります。
善意は、
あればありがたいもの。
なくても仕組みが壊れないもの。
そのくらいにしておいたほうが、長く続きます。
町内会を支えるために必要なのは、善意のある人を探し続けることではなく、
善意がなくても回るくらい仕事を小さくすること
なのかもしれません。
「前例がない」はできない理由ではない
何かを変えようとすると、
「そんなことは今までやったことがない」
「前例がない」
と言われることがあります。
しかし、
前例がないことと、
できないこと
は別です。
確認したいのは、
規約上できないのか。
契約上できないのか。
何か具体的な問題が起こるのか。
それとも単に、
「今まで誰もやらなかった」
だけなのか。
ということです。
具体的な問題がないのであれば、まず小さく試してみる方法もあります。
逆に困ったら、元へ戻せばよいのです。
仕事を残す魔法の言葉に気をつける
町内会には、仕事を増やしたり残したりしやすい言葉があります。
「せっかくだから」
せっかく集まるのだから、これもやろう。
「念のため」
使うか分からないけれど、これも準備しておこう。
「一応」
一応、この資料も残しておこう。
「去年もやったから」
今年も同じようにやっておこう。
一つ一つは小さな判断です。
しかし、それが積み重なると、
行事。
資料。
会議。
役職。
作業。
が少しずつ残っていきます。
その結果、
誰も「始めよう」と決めていないのに、仕事だけが増えている
ことがあります。
こんな言葉が出たときは、
「なくても困らないのでは?」
と一度考えてみてください。
仕事を減らすことは手抜きなのか
仕事を減らそうとすると、
「手抜きではないか」
と思われることもあります。
しかし、
必要な仕事までやらないことと、
必要のない仕事をやめること
は別です。
10の仕事を頑張ってこなすより、
必要な5の仕事だけを無理なく続けられるほうが、安定する場合があります。
町内会の目的は、役員が忙しく働いている姿を見せることではありません。
必要なことができているなら、
仕事が少ないことは失敗ではありません。
むしろ、少ない仕事で回っているなら、それは効率のよい状態とも考えられます。
正しさを証明しなくても見直せる
町内会の仕事を変えようとすると、
「こちらが正しいと全員に分かってもらわなければ」
と思うことがあります。
しかし、必ずしも大論争をする必要はありません。
一回休んでみる。
回数を減らしてみる。
一つだけやめてみる。
そして、
本当に困るかを確認する。
何も困らなければ、それ自体が分かりやすい結果になります。
町内会の仕事を見直すとき、
「昔から」
「みんな」
「地域のため」
という言葉と戦う必要はありません。
ただ、
「では、今も必要な理由は何ですか?」
と考えてみる。
それだけでも十分です。
正式な決まりではなく、空気だけで続いている仕事が見つかるかもしれません。
町内会の負担を減らす第一歩は、空気に逆らうことではなく、
空気と決まりを分けて考えること。
そこから始めればよいのではないでしょうか。
若者・担い手不足
参加しない人の意識を責めない
町内会や自治会では、
「若い人が参加してくれない」
「役員のなり手がいない」
「いつも同じ人ばかりが活動している」
という話をよく聞きます。
すると、
「もっと若い人に地域へ関心を持ってもらおう」
「やる気のある人を探そう」
「町内会を活性化しよう」
という方向へ話が進みがちです。
しかし、その前に一度考えてみたいことがあります。
参加しない人の意識を変える前に、参加したくない仕組みになっていないか。
ということです。
若い人が参加しないのは意識が低いから?
仕事。
子育て。
家事。
趣味。
家族との時間。
今の生活の中で、使える時間は限られています。
そんな人に、
平日の夜に会議。
休日に行事。
役員になれば一年間予定を拘束される。
一度引き受けると次々に仕事を頼まれる。
となれば、町内会そのものが嫌いでなくても、
「そこまで関わるのは難しい」
と思う人がいても不思議ではありません。
それを、
「最近の若い人は地域への関心がない」
だけで片づけてしまうと、組織の側にある問題が見えなくなります。
人の意識を変えようとする前に、
時間を奪いすぎていないか。
断りにくい仕組みになっていないか。
一度関わると仕事が増える状態になっていないか。
を確認してみてください。
若者向けのイベントを増やせばいいのか
若い人に参加してもらおうとして、
交流イベント。
若者向け企画。
新しいプロジェクト。
などを始める方法もあります。
しかし、新しいことを始めれば、
企画する人。
準備する人。
参加者を集める人。
会計をする人。
後片付けをする人。
が必要になります。
つまり、
若い人を呼ぶために、町内会の仕事そのものが増える
ことがあります。
しかも、その企画が成功すれば、翌年には、
「去年もやったから今年も」
という新しい前例になるかもしれません。
若い人に関わってほしいのであれば、イベントを増やす前に、
会議を減らす。
役員の仕事を減らす。
行事を減らす。
断っても気まずくならないようにする。
そのほうが参加へのハードルは下がるかもしれません。
町内会をテーマパークにする必要はありません。
「ここなら、それほど大変ではなさそうだ」
と思えることも、十分な魅力です。
担い手不足を人探しだけで解決しない
役員が決まらないと、
次は誰に頼むか。
まだ役員をしていない人はいないか。
若い人はいないか。
やる気のある人はいないか。
と、人探しが始まります。
しかし、
10人必要な組織で8人しか見つからないのであれば、残り2人を必死に探す方法だけではなく、
8人で回る組織に変えられないか
と考える方法もあります。
役職を減らす。
仕事を減らす。
委員を減らす。
会議を減らす。
そうすれば、
「担い手不足」
だったものが、
「今いる人数で十分」
になることがあります。
人が足りないときほど、
人を増やす前に仕事を減らす。
この順番で考えてみてください。
やる気のある人を探し続けない
町内会では、
「誰か熱意のある人はいないか」
という話も出ます。
もちろん、地域活動が好きな人が参加することは悪いことではありません。
しかし、町内会を続けるために、
常に強い熱意を持った人が必要な仕組み
になっているのであれば、それは少し不安定です。
熱意のある人がいる間は回る。
その人が辞めると止まる。
では、長く続きません。
町内会を続けるために本当に必要なのは、熱意のある人を次々と探すことではなく、
それほど熱意がなくても担当できるくらい、仕事を小さくすること
なのではないでしょうか。
普通の人が。
普通の生活をしながら。
一年くらいなら担当できる。
その程度まで負担を下げる。
そのほうが、次の担い手も見つかりやすくなります。
参加率が高ければ成功なのか
町内会では、
「参加者を増やそう」
という目標が掲げられることがあります。
しかし、
参加率が高いこと自体を、町内会の成功と考える必要はあるのでしょうか。
参加したい人は参加する。
忙しい人は参加しない。
必要なときだけ協力する人もいる。
そうした違いがあってもよいはずです。
大切なのは、
全員を参加させることより、参加しない人がいても必要なことが回ること
です。
参加者を増やすために、
イベントを増やす。
案内を増やす。
声かけを増やす。
担当者を増やす。
となれば、また仕事が増えてしまいます。
参加率を上げることより、
少ない参加者でも無理なく続けられる仕組み
を作るほうが現実的な場合もあります。
役員に報酬を払えば解決する?
担い手不足への対策として、
「役員に報酬を払えばよい」
という考え方もあります。
報酬を出すことで、引き受けやすくなる場合はあるでしょう。
しかし、報酬を出したからといって、
会議の数。
行事の数。
書類の量。
責任の重さ。
まで自動的に減るわけではありません。
仕事が多すぎる状態のまま、お金だけを付けると、
「報酬を払っているのだから、これくらいやってもらおう」
という方向へ進むこともあります。
報酬を考える前にも、まず仕事そのものを減らせないか。
そのうえで残った必要な役割に、適切な報酬を考える。
という順番でもよいでしょう。
高齢化しているなら運営も変える
役員の高齢化も、多くの地域で問題になります。
しかし、
人の年齢が上がっているのに、
仕事の量だけ昔と同じ。
行事も昔と同じ。
会議も昔と同じ。
役職数も昔と同じ。
では、負担が大きくなるのは当然です。
人に合わせて仕事を続けさせるのではなく、
今いる人たちで無理なくできる量まで仕事を変える
という考え方もあります。
高齢化しているからこそ、
小さくする。
簡単にする。
回数を減らす。
やめられるものはやめる。
という方向が必要になるかもしれません。
住民の意識を変える前に町内会を変える
人が集まらないと、
「住民の意識を変えなければ」
と言いたくなることがあります。
しかし、人の価値観を変えることは簡単ではありません。
町内会への関心が強い人もいる。
ほとんど関心がない人もいる。
それでも地域で暮らしていくことはできます。
ならば、全員の意識を町内会へ向けるより、
関心がそれほどない人でも困らない仕組みにする
ほうが簡単かもしれません。
町内会を続けるために必要なのは、
住民を町内会に合わせることではなく、
町内会のほうを、今の住民の生活に合わせること。
人が足りないときほど、
人を責めない。
人を探し回らない。
人の意識を変えようとしない。
まず、
人が少なくても回るくらい、町内会を小さくできないか。
そこから考えてみてください。
デジタル化・外注
便利にする前に仕事を減らす
町内会や自治会の負担が大きくなると、
「LINEを使おう」
「電子回覧板にしよう」
「オンライン会議にしよう」
「専用アプリを導入しよう」
というデジタル化の話が出ることがあります。
また、
「業者に頼めばいい」
「事務を外注できないか」
「お金を払って誰かにやってもらおう」
という案が出ることもあります。
どちらも、うまく使えば役に立つ方法です。
しかし、その前に一つだけ確認したいことがあります。
その仕事は、本当に残す必要があるのでしょうか。
デジタル化しても仕事は消えない
紙の回覧を電子化すれば、紙を配る仕事は減るかもしれません。
会議をオンラインにすれば、会場へ移動する時間は減るかもしれません。
しかし、
毎月3回ある会議をオンラインにしても、
会議は3回のままです。
必要のない情報を電子回覧にしても、必要のない情報を配っていること自体は変わりません。
さらに、新しい仕組みを導入すれば、
使い方を説明する。
登録してもらう。
パスワードを管理する。
使えない人をサポートする。
次の役員へ引き継ぐ。
という仕事が新しく生まれることもあります。
便利にするつもりが、
新しい道具を管理する仕事まで増えてしまう
ことがあります。
まず仕事を減らしてからデジタル化する
デジタル化を考える前に、
そもそも、この仕事は必要なのか。
回数を減らせないか。
なくしてしまえないか。
を先に考えてみてください。
そして必要な仕事だけが残ったあとで、
「これは紙より電子のほうが楽だ」
というものをデジタル化すれば十分です。
順番は、
仕事を減らす。
それでも残った仕事を簡単にする。
です。
不要な仕事をデジタル化しても、
不要な仕事が効率よく続くだけ
になってしまいます。
外注しても仕事が消えるとは限らない
外注も同じです。
専門的な作業や危険な作業などは、住民が無理に行うより、専門業者へ任せたほうがよい場合があります。
しかし、不要な仕事をそのまま外注すると、
住民の作業時間は減っても、今度は町内会のお金が必要になります。
さらに、
見積もりを取る。
業者を選ぶ。
契約する。
支払いをする。
翌年度の予算を確保する。
という事務も発生します。
つまり、
仕事そのものは残ったまま、負担の種類が変わっただけ
ということもあります。
外注する前にも一度削る
外注を考えるときも、
この仕事は本当に必要なのか。
回数を減らせないか。
規模を小さくできないか。
そもそもやめられないか。
を先に考えてみてください。
それでも必要で、住民が無理に担当するより専門業者へ任せたほうがよいのであれば、その時点で外注を考えればよいでしょう。
大切なのは、
「誰にやってもらうか」の前に、「やる必要があるか」を考えること
です。
住民がやる。
役員がやる。
業者がやる。
誰が担当しても、
不要な仕事は不要な仕事です。
新しい仕組みを改革そのものにしない
町内会改革というと、
デジタル化。
新しいアプリ。
外注。
新しい管理方法。
など、何か新しいものを導入することが注目されやすくなります。
しかし、新しい仕組みを入れなくても、
会議を一つなくす。
回覧を一つなくす。
行事を一つなくす。
仕事を一つなくす。
だけで、負担は確実に減ります。
しかも、
新しい操作を覚える必要もありません。
新しい契約も必要ありません。
新しい予算も必要ありません。
引き継ぐ仕組みも増えません。
最も簡単な効率化は、やらなくても困らない仕事をやめること。
デジタル化も外注も、そのあとです。
町内会の負担を減らすときは、
便利な道具を増やすことより、
道具を使わなくても済む仕事を増やすこと。
そこから考えてみてください。
改革・トラブル対応
全員を説得してから変える必要はない
町内会や自治会の仕事を減らそうとすると、
「今まで問題なくやってきた」
「全員が納得してからにしよう」
「反対する人がいる」
「前の役員に申し訳ない」
といった意見が出ることがあります。
もちろん、規約の変更や大きな支出など、正式な手続きが必要なことは、その手続きを踏む必要があります。
しかし、
全員が同じ考えになることと、必要な決定をすることは別です。
町内会を変えるときは、全員を説得することより、
誰が、どの方法で決めることなのか
を最初に確認してみてください。
規約上、総会で決めることなら総会で決める。
役員会で決められることなら役員会で決める。
担当者が変更できる小さな運用なら、必要以上に大きな議論にしない。
大切なのは、
全員を賛成させることではなく、決められた方法で決めること
です。
反対意見は具体的に考える
何かを変えようとすれば、
「困る人がいる」
「地域が悪くなる」
「前のほうがよかった」
という反対意見が出ることがあります。
そんなときは、
具体的に何が困るのか
を確認してみてください。
行事を一つなくしたら、誰が困るのか。
会議を一回減らしたら、何が決められなくなるのか。
回覧を減らしたら、どんな情報が届かなくなるのか。
具体的な問題が分かれば、その部分だけ対応できます。
一方で、
「なんとなく不安」
「今までと違うから嫌だ」
というだけなら、それ自体を理由にすべて元へ戻す必要はないかもしれません。
反対する人がいることと、その変更が間違っていることは同じではありません。
改革は一度に全部やらなくていい
問題がたくさん見えてくると、
「この際だから全部変えよう」
と思うことがあります。
しかし、一度にたくさん変えると、
何がうまくいったのか。
何が問題だったのか。
何に反対されているのか。
が分からなくなることがあります。
そこで、
会議を一回減らす。
行事を一つ休止する。
配布物を一種類減らす。
役職を一つなくす。
その程度から始めます。
そして、
本当に困ったかどうかを見る。
困らなければ、そのまま。
困ったら、その部分だけ修正する。
長年続いてきたものなら、
「廃止します」
ではなく、
「今年は一度休んでみます」
でも構いません。
一年やらなくても何も起きなければ、それ自体が判断材料になります。
改革は、元に戻れない大決断である必要はありません。
小さく変える。結果を見る。また一つ変える。
その繰り返しでも十分です。
一人の反対で全部元に戻さない
何かを変えれば、
「元に戻してほしい」
という人が出ることがあります。
しかし、
一人から苦情が出たことと、その変更が失敗だったことは同じではありません。
確認したいのは、
何人が困っているのか。
具体的にどんな支障が起きたのか。
その問題だけ別の方法で解決できないか。
ということです。
たとえば、回覧を減らしたことで一部の人だけ必要な情報を受け取りにくくなったのであれば、その人へ必要な情報だけ届ける方法もあります。
全世帯への大量の回覧を復活させる必要はありません。
意見は聞く。
しかし、
すべての意見を、そのまま町内会全体の仕事に戻す必要はありません。
「誰かが反対したか」ではなく、
「実際に何が困ったか」
で考えます。
説明するために仕事を増やさない
仕事を一つ減らすために、
何ページもの資料を作る。
説明会を開く。
何度も話し合う。
全世帯の理解を得る。
となれば、
仕事を減らすために、新しい仕事を増やす
ことになってしまいます。
まず、
その変更を誰が決められるのか。
正式な手続きが必要なのか。
単なる運用変更なのか。
を確認します。
必要な手続きは行う。
そのうえで、
何を変えるのか。
なぜ変えるのか。
問題が起きたらどうするのか。
を簡潔に伝える。
それで十分な場合もあります。
そして、
「なぜやめるのか」
だけではなく、
「なぜ今まで通り続ける必要があるのか」
も同じように考えてみてください。
他の町内会の成功例をそのまま真似しない
他の町内会で、
イベントを増やして成功した。
デジタル化して成功した。
新しい制度を作って成功した。
という事例があっても、自分たちの町内会に必要とは限りません。
世帯数。
年齢構成。
地域の環境。
役員数。
予算。
そして何より、
困っている問題そのものが違います。
役員の仕事が多すぎる町内会が、
「イベントで活性化した成功例」
をそのまま真似すれば、さらに仕事が増えるかもしれません。
成功例を探す前に、
自分たちは何に困っているのか
を確認します。
他の町内会に近づくことが改革ではありません。
自分たちが無理なく続けられる形にすること
が目的です。
何でも「話し合い不足」で解決しない
町内会で問題が起きると、
「コミュニケーション不足だ」
「もっと話し合おう」
と言われることがあります。
必要な情報が伝わっていないなら、話し合いが必要な場合もあります。
しかし、
仕事が多すぎる。
会議が多すぎる。
行事が多すぎる。
という問題は、話し合う回数を増やしても仕事は減りません。
それどころか、
懇談会。
意見交換会。
アンケート。
などを増やせば、
問題解決のために、さらに仕事を増やす
こともあります。
問題が起きたら、
情報不足なのか。
意見の違いなのか。
単純に仕事が多すぎるのか。
を分けて考えてみてください。
話し合わなくても仕事を一つ消せば解決するなら、そのほうが簡単です。
アンケートも必要なときだけ
住民の意見を聞くためにアンケートを行う方法もあります。
しかし、アンケートをすれば、
質問を作る。
配る。
回収する。
集計する。
報告する。
という仕事が発生します。
参加者がほとんどいない行事なら、
参加者がほとんどいないという事実そのもの
が一つの情報です。
何でもアンケートで聞かなければ決められないわけではありません。
特に、
「どんな新しい活動をしてほしいですか?」
と聞けば、要望はいくらでも出てきます。
しかし、その仕事をする人が同時に現れるとは限りません。
意見を聞く必要がある場面では聞く。
しかし、
意見を集めること自体を、新しい恒久的な仕事にしない。
そのくらいでよいでしょう。
問題が起きるたびに委員会を作らない
新しい問題が出ると、
「専門委員会を作ろう」
という話になることがあります。
しかし委員会を作れば、
委員を選ぶ。
会議を開く。
資料を作る。
議事録を作る。
翌年の委員をまた選ぶ。
という仕事が増えます。
まず、
既存の役員会で一度決めれば済まないか。
一人が確認すれば済まないか。
専門家や行政へ相談する問題ではないか。
そもそも町内会が扱う問題なのか。
を確認してみてください。
本当に委員会が必要なら、
何を決めたら終了するのか
を最初に決めておく方法もあります。
問題が終わったら委員会も終わる。
翌年度へ自動的に残さない。
問題が増えたからといって、
組織まで増やさないこと
も大切です。
強いリーダーがいなくても回るようにする
町内会改革というと、
「強い会長が必要だ」
と言われることがあります。
確かに、最初に判断して動く人が必要な場合はあります。
しかし、その人が辞めた途端に元へ戻るのであれば、
仕組みが変わったのではなく、その人が頑張っていただけ
とも言えます。
町内会を長く続けたいなら、
誰が会長でも仕事が少ない。
特別な交渉力がなくても運営できる。
過去の事情を全部知らなくても引き継げる。
そんな状態を目指すほうが安定します。
改革した人がいなくなっても続く。
次の人は、改革する必要すらない。
それくらいまで仕事を減らせれば理想的です。
町内会に必要なのは、
英雄ではなく、英雄がいなくても困らない仕組み
です。
もめたら問題を正しい場所へ移す
それでもトラブルになることはあります。
そんなときは、
誰と争っているのかではなく、何について争っているのか
を整理します。
町内会内部のルールなら、
規約。
総会資料。
議事録。
などを確認する。
行政の制度や行政サービスに関する問題なら、担当する行政窓口へ確認する。
規約、契約、会費、退会など法律上の判断が必要になれば、法律相談を利用する。
暴力、脅迫、執拗な嫌がらせなど、安全に関わる問題なら警察への相談を考える。
すべてを、
町内会内部の話し合いだけで解決する必要はありません。
また、トラブルになったら、
いつ。
誰から。
何を言われたか。
どんな文書を受け取ったか。
自分はどう答えたか。
という記録を残しておくと、あとから状況を整理しやすくなります。
話し合いを何度繰り返しても同じところを回っているなら、さらに話し合いを増やすことが解決とは限りません。
内部で扱うことは内部で。
行政の問題は行政へ。
法律の問題は法律相談へ。
安全の問題は警察へ。
問題を正しい場所へ移すこと
も、立派な解決方法です。
町内会改革で必要なのは、全員を説得することでも、強い人がすべて背負うことでもありません。
必要な手続きで決める。
小さく試す。
具体的に困ったところだけ直す。
町内会で抱えなくてよい問題は抱えない。
そのくらいの進め方でも、十分に町内会は変えられます。
実例・著者・書籍
実際に仕事を減らしてみた
ここまで、
町内会の仕事を減らす。
行事を減らす。
会議を減らす。
行政などから来た依頼も、本当に町内会が担う必要があるのか確認する。
という考え方を書いてきました。
では、
実際にそんなことができるのか。
富山市の大沢野地区にある自治振興会では、2025年以降、いくつかの仕事や仕組みを見直してきました。
約55の自治会が参加する地域組織です。
そこで重視したのは、
「新しく何を始めるか」より、「今ある仕事を減らせないか」
という考え方でした。
長年続いてきた研修旅行をやめる。
新年会をやめる。
町内会を経由して行っていた募金の仲介を見直す。
行政などから地域へ依頼された仕事についても、
「今までやってきたから」ではなく、「本当に地域側が担う必要があるのか」
を確認する。
そうした見直しを行いました。
行政から地域住民へ求められた調査について、
「これは住民が無償で行う仕事なのか」
と確認し、引き受けなかった例もあります。
その結果、
やめても地域運営そのものが止まらなかった仕事もありました。
研修旅行をやめても、日常の地域運営は続きます。
新年会をやめても、組織そのものが動かなくなるわけではありません。
募金の仲介をやめても、寄付そのものができなくなるわけではありません。
そして、一つの仕事をなくすと、
準備。
会議。
担当者。
予算。
連絡。
引継ぎ。
といった、その仕事に付随していた作業まで一緒に減ることがあります。
新しい効率化の仕組みを導入する前に、
仕事そのものをなくせないか。
そこから考えるだけでも、負担を減らせる場合があります。
もちろん、何でもやめればよいわけではありません。
地域の安全に必要なこと。
共同で管理する必要があるもの。
住民が実際に困ること。
災害時などに必要になる仕組み。
そうしたものは残す必要があります。
大切なのは、
「昔から」
「毎年」
「みんなやってきた」
「行政から頼まれた」
という理由だけで残すのではなく、
今も必要なのかを一度確認してみること
です。
人を変えるより、仕事の仕組みを変える
町内会に関わっていると、
「これはおかしい」
「もっと簡単にできるのではないか」
と思うことがあります。
しかし、
「昔からこうしている」
「去年もやった」
「みんなやっている」
という理由で、仕事がそのまま続いていることもあります。
そこで、全員の考え方を変えようとするより、
無理をしなくても回る仕組みに変える
という方法があります。
会議への意識を変えてもらう前に、会議そのものを減らす。
役員にもっと頑張ってもらう前に、役員の仕事を減らす。
集金する人を増やす前に、そもそも集金して回る必要があるのか考える。
外部から来た依頼を断る勇気を全員に求める前に、
何でも町内会の仕事として引き受けない。
人の考え方を変えることは簡単ではありません。
一方で、
仕事の数。
会議の回数。
役職の数。
配布物の数。
引き受ける依頼の範囲。
は、見直せる場合があります。
町内会の負担を減らすときには、
人を変えるより、仕事の量と仕組みを変える。
という考え方もあります。
このページを書いた人
このページは、富山市でパソコン修理とシステム開発を行い、地域組織の運営にも関わっている坂上誠一が作成しています。
もともとの専門は町内会ではなく、コンピューターの修理やシステム開発です。
そうした仕事では、
原因を調べる。
不要なものを外す。
複雑な仕組みを単純にする。
という考え方を使います。
地域組織についても、
新しいものを足す前に、今ある仕事を減らせないか。
という視点から考えています。
町内会をなくすことでも、
もっと活発にすることでもなく、
普通の生活をしながらでも関われるくらいまで、負担を小さくできないか。
このページは、そのための考え方や実例をまとめたものです。
『泣き寝入りの町内会』について
『泣き寝入りの町内会』(著者:坂上 誠一)は、地域組織の中で実際に起きた出来事をもとにした本です。
役員を断りにくい。
昔から続いている仕事をやめにくい。
誰が決めたのか分からないことが続いている。
善意で始まったことが、いつの間にか義務のようになる。
「地域のため」
「みんなのため」
と言われると断りにくくなる。
そうした、
町内会や地域組織の中で生まれる「断りにくさ」や「空気」
を、実体験をもとに記録しています。
町内会改革の教科書ではありません。
特定の方法を正解として勧める本でもありません。
地域によって、
歴史。
人間関係。
役員。
行政との関係。
事情はそれぞれ違います。
読んだ方が、
「自分の地域ではどうだろう」
「これは本当に必要なのだろうか」
「別のやり方はないだろうか」
と考える材料の一つになればと思っています。